多感な10代の頃好きになったものって今でも何かしら自分の選択する物事に影響を与えていたりしますよね。今日は、今の行為がよくよく思い起こせば10代の頃の一種の挫折感を味わったとある出来事に繋がっていたことに気づいたという話です。

今、小説を書いてます。恋愛ものです。完全オリジナル一次創作です。書こうと思いついたのは最近ですが、原案ははるか太古の時代より存在していまして、大まかな設定やストーリーができたのは多分私が20代頃だったかなと思います。何しろ私はいわゆる「古の腐女子」ですから。
今オリジナル小説の文章を書いていて思うことがあります。それは何かって。……うーん、なんかエピソードとか設定がいちいち古くて妙に懐かしいってこと。それもそのはず、話の舞台はある下宿屋なのですが、この舞台設定については私がまだ腐に目覚めるよりも前の大昔に大好きだった、とある少女漫画の設定を真似ているからです。いや、真似てるというよりこれはその少女漫画への「復讐」なわけであり同じにしないとダメだったのです。
私がなぜその漫画に復讐を誓ったかというと。私は純粋にその少女漫画が大好きでした。花ゆめだったか別マだったか忘れましたが、覚えてる方もおられるでしょう。川◯由美子の「前略ミ◯クハウス」というタイトルを。私はそこに出てくる藤くんという男の子が大好きでした。今でいう推しですかね。ひたすら藤くんと女主人公の芹香ちゃんとの恋が実ることを願ってました。今思えば、なんて無垢で純真な願いでしょう。ですがそれは、ラストで無残にも裏切られてしまいます。芹香ちゃんは大方の読者の予想通りだったか知りませんがもう一人の男、長髪の女装男子鈴音くんを相手に選んでしまったのです。……泣きました。なぜ藤くんではないのか? 女主人公とは何者ぞ。こんなにも私に敗北感と悔しさをもたらすお前は一体何様だというのか。心から女主人公への激しい怒りを覚えました。
これ、初めての経験ではなかったのです。小学生の頃も絶大な思い入れをした少女漫画の女主人公が、私が選んでほしくない方の男性を選び、中学生の頃も毎週見ていた人気アニメのヒロインが私が選んでほしい男子を選んでくれず、何度悔し涙を飲み込んだやら。そんな経験を重ねていたころハマりにハマった漫画でこれですよ。以来、わたしは女主人公というものがめっきり苦手になりましてね。また裏切られる、と思うとね。そしてこの「前略〜」が私の思い入れした最後のNL漫画となったのでした。
その後、私はあまりの悔しさに推しの恋がちゃんと実るストーリーを妄想する必要を感じたんですね。きっと。そうでないとこの無残に引き裂かれた10代のピュアハートは報われない。私の中で何かが壊れてしまう。なのでひたすら妄想で補うようになりましたね。それがこの小説の原案となってるわけなのですが、内容は私がNLを嫌いになったせいで、いやそのせいか何かは分からないですがBLになりました(笑) まあ古のアレなんで、竹宮惠子やら萩尾望都やら木原敏江やら秋里和国やら日本の腐界隈を切り拓いた少女漫画家たちの影響をうけて育ちましたので。私の書き出した小説は、つまり元々アンチテーゼとしての存在理由だったわけですから、舞台はその漫画と同じ下宿屋で若者が一緒に暮らしているという設定しかあり得なかったわけなんですね。
主人公には黒髪前髪さらさらで少し気弱な感じの、当時好きだった藤くんの面影がありますし。大袈裟に言えば藤くんに幸せになってもらいたいというあの時願わなかった無意識にある思いが変化球で姿を変えたものがこの小説なのかもしれません(笑) 10代のピュアハートを踏みにじられ苦杯を舐めさせられた恨みは実に大きいです。
そしてその後私がハマった漫画が男主人公の「BAN◯NA F◯SH」。リアルタイムで、主人公の恋ではなくハードボイルドな抗争の行方を追い楽しみましたが、これに登場する日本人男子の某キャラとの友情やら絆やらが実に胸熱で読んでて本当に幸せでした。今で言うブロマンスみたいなものを掻き立てられたのでしょうか。元々わかりやすい形の心情より、複雑で曖昧な何かを好むタチなので、普通の男女の恋愛話は刺激が少なくつまらないせいもあるでしょう。
ピュアハートを平気で踏みにじっていく女主人公の恋なんかより、男同士の友情の方が何百倍も胸キュンだったわけです。そう、この切なハッピーな胸キュンが欲しかっただけなんですよね。生々しいオンナの欲求という気持ち悪い共感しづらい感情を完全排除した世界がそれを与えてくれることを知り、気づくとどんどん(当時の呼び名ではなかったですが)今でいうBLものに目覚めていったんですね。
とはいえ、このジャンルにおいても同性同士という後ろめたさが表立って描かれなくなってからは、私は物足りなくて冷めてしまったのです。読む側の人間としてはもう完全にね。なぜ背徳感なしで盛り上がれるのでしょう? ハッピーな世界観で描かれる当ジャンル界隈の女子の気持ちが、私には全然わかりません。またエロ全開で描かれる直接的性欲表現まるだしのBL漫画やBL小説もこれっぽっちもハマる意味がわかりませんね。BL書きなくせに、世間で人気の作風にはまったく興味がない。嫌悪感のほうが強い。
そこで、腐った世界からいつしか自然に距離を置くようになり長い間非オタ生活が続いた後、突如二次創作という畑に飛び込んで胸キュンハッピーな世界を知るに至ったわけです。そこであれこれ創作したせいもあって少しだけ文章が書けるようになり、そのスキルが突然、長年の私の妄想世界を形にし始めたんですね。
というわけで、小説を書いてるといつも思い出してしまいます。そもそもなぜこんな設定なのかという理由を。なぜこんな古臭い少女漫画チックな設定やキャラやエピソードが盛り込まれているのかを。時を超えて理由に気づきやっとここに吐き出せました。もし読んでくださった方いらっしゃいましたらおつきあいありがとうございました!
